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猪突猛進

 

- 猪突猛進 -

 


 先日、母よりイノシシが畑を荒らして困っているとの報告を受けて電柵を取り付けることにした。
先週末から今週初めにかけて準備と取付に時間を費やしたが、やっと作業が完成した。
翌朝確認を兼ねて畑に出向くと、早速イノシシがやってきた様子で高圧線に接触した形跡が見受けられた。約4m間隔に打ち込んだ支柱に電線を二重に張り巡らし制御盤を含めた電柵は周囲が100メートルに達する。
電柵の仕様は10,000Vの高圧電流を一秒間隔で流電するので死に至るほどの大きなダメージにはならない。但し、一瞬体が痺れた状態になるので、イノシシといえどもビックリするに違いない。今回は筆者に軍配が上がったが、イノシシはイメージと異なり繊細で学習能力の高い頭のいい動物なので次の一手を考え、又畑の穀物を荒らしに来ることだろう。

”猪突猛進“は周囲に目もくれずしゃにむに突進するイノシシの形容を表現したものだが、本来の性格や姿とは異なる負のイメージを作り上げてしまった。
「僕の座右の銘は”猪突猛進”ですよ。」とか「わしの行動指針は”猪突猛進”じゃよ!」などと肯定する人も時にいるが、圧倒的に向こう見ずとか無鉄砲といったネガティブな評価が多いのが実情だろう。
イノシシとの付き合いはもう5年にもなるが、瓜ボウや外見が恐ろしい雄イノシシや顔の優しい雌イノシシなど合計10匹以上の実物を見てきたが、上記のようなイノシシは一匹もいなかった。確かにイノシシは農作物や田畑を荒らす害獣であることに間違いはないが、彼らは生きて子孫を残すためだけに食べ物を物色しているのだ。

 

先日、市街地に白昼堂々イノシシが出没し会社員に突進したというニュースが報道された。一部のテレビ局などイノシシの凶暴性のみ強調しただけで原因や背景等全く無視した偏った報道だった。半面、市街地であっても夜間に於いては頻繁に出没しており、小袋など持っていると狙われることや瓜ボウを連れている場合など特に注意が必要だという適切なアドバイスをするテレビ局もあった。
昔のイノシシは大半山の中で生活し、所有者等も頻繁に山に入り管理をしていたので山はいつもきれいに整備されイノシシたちの食糧も豊富だった。時代とともに管理する人も少なくなり山は荒廃が進みイノシシや野生動物の食糧事情はドンドン悪化していった。
野生動物にとって食糧確保は死活の問題であるため、リスクを冒してまでも里や最近では市街地までも出没して食糧を物色する以外手段はなかったのであろう。

 

昔から人間と野生動物は広い意味での共存生活を継続してきたが、山の荒廃や開発等、人間の一方的な都合と共に関係は崩壊した。近年の野生動物の市街地への出没・殺傷等の問題の発生に伴い里山への関心度が高まりつつある。
つまり、共存条件となる里山の復活と維持管理は所有者個人では不可能であり、行政や特殊法人等の人力と英知の結集が当面の課題といえよう。




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